新型コロナウイルス抗原検査キットに注意

新型コロナウイルスに感染している可能性を、手軽に短時間で調べられるとして、抗原検査キットの販売が広がっています。しかし、不適切に販売したとして、業者が行政指導を受けたり、逮捕されたりするケースも出てきています。抗原検査キットは、鼻の奥などに綿棒を入れて体液を採り、新型コロナウイルスに特有のたんぱく質である抗原があるかどうかを調べます。PCR検査よりは精度は低いのですが、専用の機械などが要らず手軽に検査できるほか、検査結果も15~30分で分かる利点もあります。
抗原検査キットを大別すると、2種類あります。一つは厚生労働省の承認を受けた体外診断用医薬品です。これまで販売先は医療機関や自治体に限られていましたが、厚生労働省は9月末、新型コロナ流行期の特例として薬局での販売を認めています。購入する際は、薬剤師から検体の適切な採取方法などの指導を受け、陰性と判定されても感染対策を続けることなどに同意する書面に署名する必要があります。もう一つが未承認のキットです。国の定めた水準の臨床試験で性能が確かめられておらず、医療用ではなく、研究用という名目で市販されています。
消費者庁は、抗原検査キットは体外診断用医薬品を選ぶように、未承認の研究用キットの販売が全国で広がっていることを踏まえ、異例の注意喚起をしています。消費者が研究用キットを自己診断の目的で使わないよう周知することをしています。都道府県などに通知しています。
未承認の抗原検査キットはウイルス検出精度の低いものもあり、家庭内感染につながるケースもみられています。キットの精度が低ければ、実際は感染しているのに陰性と判断されたり、感染していないのに陽性となったりする恐れがあります。研究用キットには、良い物から悪い物まで様々あるということを認識する必要があります。

(2021年11月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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