新型コロナ治療薬の開発

新型コロナウイルスの治療薬で、軽症者用の飲み薬の開発が欧米企業を中心に進んでいます。国内で承認されている軽症者用の薬は、点滴薬しかなく、自宅でも使いやすい飲み薬があれば、新型コロナの脅威を抑えることもできます。
飲み薬は世界中でまだ開発段階ですが、先行するのは海外企業です。米メルクのモルヌピラビルは、最終段階の治験に進んでいます。米ファイザーも治験は最終段階で、年内に緊急使用許可の申請を目指しています。米国への申請に伴い、日本の厚生労働省にも承認申請される可能性があります。他にスイスのロシュも治験は最終段階に入っていて、2022年にも申請するとみられています。
国内企業では、塩野義製薬が、最終段階の治験を開始しています。国内で無症状や軽症の患者約2千人の治験をし、早ければ年内に厚生労働省への承認申請を目指しています。薬は1日1回、5日間の服用を想定しています。国内で承認されている治療薬は現在5種類あり、抗体カクテル療法と呼ばれるロナプリーブとソトロビマブが軽症者に使えますが、どちらも点滴薬です。
飲み薬が実用化されれば、患者に広く使えるようになり、新型コロナウイルスを季節性インフルエンザのように扱うことができます。飲み薬は早い段階で使い、ウイルスがこれ以上増えないようにするための薬です。新型コロナに感染したと思ったら、すぐに飲み薬を使える体制がなければ、効果を十分に発揮することはできません。飲み薬とともに、抗原検査など感染の有無を安価に素早く判断できる検査の仕組みを整える必要があります。

(2021年9月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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