新型コロナ5類への引き下げを

新型コロナは、現在感染症法上の類型のうち、新型インフルエンザ等感染症に属し、結核などと同じ2類以上の強い感染防止策がとられています。入院や外来診療に対応できる医療機関は一部に限られ、感染拡大のたびに医療逼迫が課題となってきました。これまで、政府は類型見直しに慎重な姿勢を示し続けてきました。2類相当の位置づけを変えないまま、療養期間の短縮、全数把握の簡略化などの措置を打ち出すことで、感染対策と社会経済活動の両立をはかるウィズコロナを進めてきました。
類型見直しに向けた環境が整ってきています。まず致死率の低下です。60歳以上の致死率は、第5波のデルタ株の2.50%から、第7波のオミクロン株は東京都が0.64%、大阪府が0.48%となり、インフルの0.55%と差はなくなっています。ウイリスの変異に加え、ワクチン接種が進み、治療方法が確立されてきたことも要因です。海外では脱マスクなど対策緩和が先行し、国内でも機運が少しずつ高まってきています。
新型コロナが今後インフルと同じ5類になれば、メリットとしては、医療機関でコロナとそれ以外の患者を必ずしも分ける必要がなくなります。幅広い医療機関に入院や外来診療の協力を要請できるようになり、医療逼迫を抑えられます。感染者への強制的な入院や自宅療養、就業制限などの厳しい措置もなくなります。デメリットとしては、今後もし病原性の高いウイルスに変異した場合、5類なら緊急事態宣言などは発令できません。また、治療費やワクチン接種費に対する全額公費負担は大きな焦点となります。5類になれば保険適用以外の費用は原則自己負担となります。

(2022年11月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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