激しい嘔吐や下痢を引き起こすノロウィルスなどによる感染性胃腸炎の流行が本格化してきています。今月中旬のまでの1週間当たりの全国の患者数は、今シーズンで初めて3万人を突破しています。今年は遺伝子が変異した新型のノロウィルスが検出され、流行の拡大が懸念されていました。今年に入って「GⅡ・17」という新たな遺伝子型が急増していることが判明しました。新型に対して人は過去に獲得した免疫の効力がないため、大流行が心配されています。
感染性胃腸炎の主な原因となるノロウィルスは、感染力が強く、激しい嘔吐や下痢などの症状が出ます。感染すると特効薬やワクチンはなく、水分補給で脱水症状を防ぐといった対処療法が中心となります。毎年12月~1月ごろをピークに本格的な流行を繰り返しており、国内ではともに新型の出現があったとされる2006年と12年に大流行しました。せっけんを使った手洗いの徹底や、嘔吐物・便を処理する際は、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系の漂白剤などを使って消毒することが大切です。
(2015年12月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)
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