新型出生前診断(NIPT)の現状と問題点―Ⅱ

先天性疾患の内訳
出生100人に対して3~5人の赤ちゃんが何らかの疾患をもって生まれてくるとされています。近年、出生前診断が急激な進歩を遂げてきています。しかし、NIPTなどの遺伝学的検査や形態異常などを調べる超音波検査によって、生まれる前にわかる異常や疾患は全体の半分に過ぎません。さらに、染色体疾患と呼ばれるものは先天性疾患の4分の1ほどで、NIPTで調べることができるのはそのうち13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーに限られます。それは、この3つの頻度が高いからですが、染色体疾患の全てが分かるわけではありません。
NIPTは、母体血を用いた遺伝学的検査のひとつで、非確定的検査です。妊娠10週以降に検査が可能で、今のところ日本で対象とされている疾患は、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーの3つだけです。結果は陽性あるいは陰性として示されます。精度は疾患ごとに違うものの非常に高く、陽性的中率は疾患全体でも60~96%です。しかし、非確定的検査なので陽性の判定が出た時には、さらに絨毛採取(CVS)や羊水穿刺などの確定的検査を受ける必要があります。確定的検査は、CVSは妊娠10~14週に、羊水穿刺は15週以降に、胎児由来の細胞や組織を子宮から直接採取して検査します。しかし、CVSでは0.5%、羊水穿刺では0.3%の流産のリスクを伴います。

(母子保健 2018年10月号)
(吉村 やすのり)

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