中古マンション市場で完成後間もない築浅物件の売り出しが増えています。東京・大阪で築1年以内に売りに出された物件は10年前の3倍を超えています。投資家が転売益を見込んで短期で売買しています。新築物件の供給減少により需要も高く、中古マンション価格上昇の一因となっています。
売り出しが増えている背景にあるのが市場価格の上昇です。築1年以内の中古販売価格は、東京23区が2024年1~10月で平均1億5,653万円、大阪市が1億1,498万円と、2019年通年よりそれぞれ50%、66%上昇しています。東京23区の築1年以内物件の直近10年の価格上昇率は2.6倍と、新築価格の1.9倍を大きく上回っています。神奈川県や千葉県などでも築浅物件は、新築価格の上昇率を上回る状況になっています。
建築コスト上昇で新築マンションの価格が上昇、金利の先高観に伴う駆け込み需要などもあり、需要が供給を上回り築浅物件の価格も上がっています。築浅の中古物件は、希少性が高く価格が上がりやすくなっています。売り出しが増えた理由を供給面から見ると、短期所有で売却差益を稼ぐ転売目的の投資家の存在があります。
(2025年1月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)