新築マンション価格が賃金の伸びを上回るペースで上昇し、実需層にとって手が出しにくい存在となっています。東京カンテイの集計によれば、新築マンションの平均価格が平均年収の何倍かを示す年収倍率が、2023年時点で全国平均で10.09倍に達しています。2022年から倍率は0.43ポイント上昇し、全国平均としては2016年の調査開始以来はじめて10倍を超えました。
都道府県別でみると、最も高倍率だったのは東京都の17.78倍でした。平均年収が592万円、マンション価格は1億526万円でした。2022年時点では平均578万円、マンション価格が8,561万円で倍率は14.81倍でした。年収の伸びを大きく上回るマンション価格の高騰で倍率が跳ね上がっています。土地代や建築コストの上昇がマンション価格に反映されています。富裕層や海外勢から人気がある都心の高額物件に、さらなる値上がりを期待した投資マネーの流入が続いている影響も大きくなっています。
東京についで年収倍率が高かったのが、長野県で15.88倍でした。軽井沢町での高級マンションの供給の影響で平均価格が上がっています。東京から新幹線で1時間強とアクセスが良く、観光資源も豊富な軽井沢には、都市部からの移住目的やセカンドハウスとして富裕層からの需要が高まっています。京都府や沖縄県でも、地元の居住者以外からの高級マンション需要が相場を押し上げています。
中国・四国エリアは、倍率が比較的低くなっています。データのある46都道府県のうち、倍率が最低だったのは山口県の6.46倍で、香川県が6.79倍で続きます。広島県の8.14倍や岡山県の8.25倍も全国平均の10倍を下回っています。
(2024年12月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)