新薬には、有効性と安全性が求められます。製薬会社は、長期にわたり多額の研究開発費を投じています。基礎研究で探した新薬候補が実際に発売できる確率は2万~3万分の1にすぎません。期間も10年以上かかる場合が多く、開発は年々難しさを増しています。製薬大手の研究開発費が売上髙に占める割合は約2割に上ります。
創薬プロセスは大きく4段階に分かれます。基礎研究では薬の候補となる物質を探します。次にマウスや細胞などで実験します。物質の有効性や安全性に問題がなければ、人を対象にした臨床試験に移ります。臨床試験では、医療機関で患者や健康な人の同意を得て試験を繰り返して、データを集めます。臨床試験で有効性や安全性を確認できた物質は、厚生労働省に新薬として申請し、審査で承認されれば発売が可能となります。
(2016年11月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)