日本、GDP4位転落

2023年の名目GDPで日本がドイツに抜かれ、世界4位に転落することがほぼ確実になりました。米ドル換算で比べるため、日本のGDPが円安で目減りする一方、ドイツは大幅な物価高でかさ上げされることが要因です。しかし、長期的にドイツの経済成長率が日本を上回ってきた積み重ねの結果という面もあります。1位は米国、2位は中国です。
もともと両国とも製造業が強く、輸出大国として知られています。OECDによれば、2000年から2021年にかけてモノの輸出額は日本が1.6倍になったのに対し、ドイツは3倍に膨らんでいます。ドイツの輸出増は、関税なしの低コストで貿易できるEUの加盟国が増えた影響が大きいとされています。1999年に導入された共通通貨ユーロが、経済力のあったドイツにとって割安だったことで、中国など欧州域外への輸出も有利になりました。
2022年からは大幅な円安となり、輸出には追い風となっています。主力の自動車産業などはフル操業していますが、国内にもっと生産設備があれば、円安のメリットをより享受できたとの指摘があります。1ドル=140円もの円安なら、以前ならもっと輸出が伸びていたはずです。国内に投資してこなかったツケが回ってきています。
IMFによれば、日本は2026年には名目GDPでインドにも抜かれ、5位に転落する見通しです。人口が日本の10倍以上の中国やインドに抜かれるのは仕方がない面もありますが、人口1人あたりの名目GDPでも、2022年はOECD加盟国のうち21位まで下がりました。日本の経済力の低下は明らかです。ドイツに逆転される要因となった円安についても、様々な理由があるものの、日本の経済力の弱さが反映されています。

 

(2024年1月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。