日本は、深刻な博士不足に直面しています。文部科学省によれば、日本の人口100万人当たりの博士号取得者数は126人で、英国の342人やドイツの338人、韓国の317人など、他の先進国に大きく後れをとっています。博士課程への入学者数も2003年度の1万8,232人をピークに減少に転じ、2023年度は1万5,014人と、20年間で約2割減少しています。
教授などの正規雇用のポストが限られ、将来への不安から博士課程への進学をためらう学生が多いためです。企業側も、これまでは若い学部卒生の一括採用がメインで、高学歴で扱いづらいなどとして、博士人材の採用には消極的でした。しかし、グローバル化や競争の激化に伴い、企業の意識も変わりつつあります。海外企業との協業や研究開発では、相手の担当者はほとんどが博士号取得者です。研究者のコミュニティーに参加するにも博士人材が必要となっています。
文部科学省は、2024年に人口100万人当たりの博士号取得者数を、2040年に今の3倍となる約370人に増やす目標を掲げ、産学官連携での博士号人材の育成や活用を強化する方針です。

(2025年7月29日 読売新聞)
(吉村 やすのり)