日本の男女格差

現在のわが国では、4年制大学進学率や就業者数は、男女差がなくなっているにもかかわらず、女性は非正規労働者が半数以上を占めています。また、国会議員や企業の管理職の女性比率は諸外国に比べ極めて低率です。女性の育休取得率は83.0%と、男性の7.5%に比べ高くなっており、共働き世帯の家事・育児・介護に男女格差が生じています。
経済協力開発機構(OECD)によれば、日本の女性の賃金は男性より24%程度少なく、平均の13%よりも差が大きくなっています。就業者数は約3千万人に増えましたが、不安定な非正規雇用が半分以上を占めています。生涯賃金は同じ学歴でも女性と男性で5千万円以上の差がついています。近年、各国・企業は積極的に男女格差の是正に取り組んできています。韓国では女性の政治参画を進めるため、2018年に比例代表候補者名簿の女性50%以上を義務化しています。英国は男女間の賃金格差情報を公表するよう義務付けています。
変化することは誰にとっても簡単ではありません。しかし、コロナ禍は働き方の変革に追い風となると思われます。女性のロールモデルが増え、古い価値観をもった男性のリタイアが進めば、男性中心の企業文化も少しずつ変わります。家事育児を夫婦で分担した世代が経営陣になれば、納得して改革を進められます。女性が働きやすい社会環境が定着すれば、男女間の格差も改善します。

(2021年3月8日 日本経済新聞 )
(吉村 やすのり)

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