日本を観光で訪れる外国人は、2015年に1973万人に達しました。安倍首相は、明日の日本を支える観光ビジョン構想会議で、外国人旅行者の増加はGDP600兆円に向けた成長エンジンとなり得るため、観光先進国への新たな国づくりに万全の対策を講じていくと述べています。東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に、旅行者を2015年の約2倍となる年間4000万人に引き上げ、買い物などで使う消費額を2倍超の8兆円に増やす目標を打ち出しています。2030年には旅行者6000万人、消費額15兆円を目指していますが、首都圏など大都市では宿泊施設不足が深刻化しています。
大都市では訪日客の急増でホテル不足が深刻化しており、実現に向けては地方への誘客を強める必要があります。都市部は飽和状態にあり、高い目標は地方を活用しないと達成できないとされています。外国人に選ばれるには、自然環境など地域が持っている強みを活用することが大切です。
これほどまでに訪日客が増えているのには、わが国の安全・安心が基本にあります。今後は宿泊施設の不足のみならず、治安にも力点を置かなければなりません。
(2016年3月31日 読売新聞)
(吉村 やすのり)