日本は長期間にわたり孤独を感じやすい人が多いとの調査があります。米財団などが2018年に日英米で実施した調査によれば、孤独を感じる期間が10年超は日本の35%が最も高く、米国の22%、英国の20%を上回っています。少子高齢化に加え、未婚率も上昇傾向にあり、誰もがいつでも孤立や孤独に陥る可能性があります。安全な社会を守るには他者とのつながりやコミュニティーが重要性を増しています。世帯の単身化が一段と進む実情を踏まえたセーフティーネットの構築が急務です。
孤立・孤独対策では、国内外で官民を超えて動きが広がってきています。先行するのは英国です。2018年に世界で初めて担当相を置いています。失業者ら孤独を感じやすい層を重点に、自治体やボランティアと連携した支援体制を整備しています。英国では、孤独感に伴う経済損失は約5兆円に上るとの試算もあります。
米国では、孤立解消サービスを提供する民間企業もあります。2017年創業のPapaでは、若者が高齢者を訪問し、家事代行や会話の相手を担う事業を展開しています。高齢者や低所得者向けの公的医療保険の適用対象にもなっています。日本では2021年2月に担当相を置き、対策の重点計画を決定しています。24時間対応の相談窓口の整備などを盛り込んでいます。
(2022年1月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)