OECDの調査によれば、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、33カ国中、最短でした。男性より女性のほうが13分短かく、日本を含む6カ国だけの傾向でした。特に寝ていないのは40~60代です。
指摘されるのが、家事負担の重さです。国の社会生活基本調査によれば、6歳未満の子がいる共働き夫婦の家事関連時間を見ると、妻は6時間33分、夫は1時間55分です。外で働く女性は増えましたが、日本の夫の家事労働時間は、先進諸国と比べてもまだまだ驚くほど短いことが指摘されています。妻が睡眠時間を削って、家事時間を捻出しています。
NHK放送文化研究所の国民生活時間調査によれば、平日に最も寝ていないのは50代女性で6時間36分で、次が60代女性で6時間52分、40代女性で6時間53分と続いています。中高年女性の場合、家事や育児、介護に加え、仕事でも要職に就く年代になって忙しいといった社会的要因が挙げられます。また、女性ホルモンのバランスも眠りの質と関係しています。月経前は昼に眠くなるのに夜はよく眠れない傾向があり、他にも妊娠や更年期などホルモンの変化が眠りの質に影響しています。
(2023年3月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)