文部科学省の全国調査によれば、外国生まれなどで日本語指導が必要な小中高生は、2023年度時点で約6万9,000人に上り、約10年前から倍増しています。このうち高校生は約5,600人を占めています。高校生の中退率は2023年度は8.5%で、全高校生の1.1%の7倍超でした。前回調査の2021年度の6.7%より悪化しています。
大学や専門学校などへの進学率は46.6%で、全高校生の75.0%より大幅に低率です。非正規職への就職率は38.6%と全高校生の12倍に上っています。日本語の基礎を学ぶプログラムや各教科の補習など、特別な指導を受けている外国籍の高校生は76.3%で、9割を超える小中学生よりも少数です。学校現場には高校入試に合格できているため指導が必要ないとする適格者主義の考えや、義務教育ではないために生徒の理解に合わせた指導をしなくてもよいといった意識があります。
父母に同伴して家族滞在として入国した子どもの場合、就労制限のない定住者、特定活動の資格を取るには高校卒業が条件となります。幅広い人材の活躍を後押しするためには、高卒の壁を取り払う支援が欠かせません。
(2024年11月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)