OECDの発表によれば、日本の最低賃金の伸び率は、名目・実質ともOECD平均値の3分の1にとどまっています。政府が掲げる全国加重平均1,000円を達成できても海外とは差があります。
日本は、2020年12月から2023年5月の伸び率が名目6.5%増、物価変動を考慮した実質で0.7%増でした。インフレ率などに連動して最低賃金が伸びるポーランドは名目で34.2%増、米国、英国、ドイツは16~28%伸びています。米国を除く29カ国の平均では、名目29.0%増、実質2.3%増で、日本はいずれも平均の3分の1にも届いていません。
英国の最低賃金は、2022年1月時点で8.91ポンド、フランスは10.57ユーロと円換算でいずれも約1,600円です。日本が1,000円を達成しても海外との開きはなお残ります。韓国も2022年8月、2023年の最低賃金を前年比で5.0%上昇となる9,620ウォン(約1,000円)へ引き上げています。最低賃金引き上げだけでは、平均賃金は上がりません。賃上げ持続に向けて、地方のサービス業や製造業などの生産性を高める成長戦略が欠かせません。
(2023年7月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)