最低賃金は企業が従業員に支払うべき最低の賃金額で全ての労働者に適用されます。2023年度の上げ幅は、約30年ぶりに前年度比4%を超える見通しで、全国平均で初めて時給1,000円以上となりそうです。政府が掲げる目標は達成するものの、水準は他国に比べ見劣りしています。
最低賃金近くで働く人は多く、30人未満の事業所で見ると、2022年度の引き上げ時に時給が新基準額を下回った人は19.2%と、5人に1人に上っています。その割合はこの10年で約4倍になっています。最低賃金の相次ぐ引き上げに、企業はぎりぎりの水準で給与を引き上げています。
先進国の最低賃金は日本と大きな差がある上、新興国との差も縮まっています。日本で働こうとする外国人が減る懸念が大きくなっています。
今回の引き上げ額の目安は、47都道府県を経済情勢に応じて分けた3つのランクごとに示し、今回は41~39円です。これを参考に各都道府県が金額を決め、秋に改定します。現在は最も高い東京都が1,072円、最も低い10県が853円です。
(2023年7月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)