生活が苦しく生理用品を買えない生理の貧困というキーワードが注目され、生理、月経に関する話題を口にできる場面が増えたことは良いことです。月経に関して当事者が抱える様々な困りごとを解決するには、周囲にいる人たちの理解が不可欠だからです。月経も個人差が大きく、また生理のことを話したい人も、そうではない人もいると思います。しかし、月経について知らない人を減らすことが大切です。
日本で初めて生理用ナプキンが発売されて、今年で60年になります。女性のニーズに応えるために、生理用品は進化を続けてきています。フェムテックという言葉も知られるようになってきています。最近では、ナプキンだけでなく、月経カップや吸水ショーツなど、海外発の製品が各国に展開されて、生理ケアの選択肢もより広がってきています。
月経に伴う症状による労働損失は、年間4,911億円という試算もあります。更年期、乳がんや子宮頸がんといった疾患や不妊治療などで、仕事を続けたくても続けられなかったり、力を発揮できなかったりする女性に、フェムテックでその悩みを軽減できるすべがあるなら、容易にアクセスできる環境でなければなりません。これまで語られることが少なかった生理について、政治の世界でも政策課題として取り組む動きもあり、社会の意識は変わりつつあります。
(2021年6月13日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)