自民・公明両党は、来年度の税制改正で検討してきた未婚のひとり親の税負担を減らす仕組みについて、対象を年間所得500万円以下とすることで合意しています。配偶者と死別・離婚したひとり親が対象の寡婦(夫)控除とすべて同じ内容の軽減策とし、ひとり親ならば結婚の有無や男女の区別なく公平な制度にします。しかし、事実婚の場合は対象外とする方針です。
今回の見直しでは、既存の寡婦控除の男女差もなくします。年500万円以下の所得制限は、男性のひとり親にしか適用されてきませんでしたが、女性にも適用します。一方、女性より低かったひとり親男性の控除額は、女性と同水準に引き上げます。事実婚は優遇の対象外となり、住民票の記載事項などを活用して判断する方針です。子どもの貧困が大きな問題となっている現在、未婚のひとり親に対する支援は大切です。婚姻歴の有無、性別にかかわらず、不公平がないような制度設計は評価できます。
(2019年12月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)