選択的夫婦別姓が実現し、実際に別姓にすることを選んだ場合、子どもの姓をどうするかが問題となります。法制審議会が1996年にまとめた民法改正案では、子の姓は結婚の時に選んだ夫婦どちらかの姓にそろえるとされました。子が生まれるたびに姓を決める案も浮上しましたが、子の姓を統一する案が採用されました。兄弟姉妹の姓が異なると子どもがかわいそう、家族の一体感が弱まるといった声は、夫婦別姓に賛成の人の中にもみられます。
夫婦別姓を実現するための妥協として、子の姓の統一は仕方ない面もあります。改正案によれば、子は家庭裁判所の許可があれば姓を変更できます。きょうだいの姓が異なる余地や、子が自分の姓を選ぶ権利を残しています。
(2015年11月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)