11月30日、英科学誌「ネイチャー」などが主宰し、公益に資する科学的理解を広めることに貢献した個人に与えられる「ジョン・マドックス賞」の2017年受賞者に、子宮頸(けい)がんワクチン問題について積極的に発信してきた医師でジャーナリストの村中璃子氏が選ばれました。
ジョン・マドックス賞とは、公共の利益に関わる問題について健全な科学とエビデンスを広めるために、障害や敵意にさらされながらも貢献した個人に与えられる国際的な賞です。科学雑誌Natureの長く編集長を務めたJohn Maddoxを称える賞です。HPVワクチンの副反応に対する訴訟にめげず、HPVワクチンの有用性と必要性を訴え続ける村中氏の勇気に対して同賞が贈られました。同賞は今回が6回目で、日本人の受賞は初めてです。
HPVワクチンは、子宮頸がんやその他のがんの予防にとって極めて大切なワクチンであり、WHOによっても有用性は支持されています。しかしながら、わが国においてはその副反応報道により、厚生労働省はワクチン接種の積極的勧奨を中止したため、その接種率は1%以下になっています。こうした受賞報道がなされないことは大変残念です。
(Nature Press release)
(吉村 やすのり)