総務省の発表によれば、東京都は、月別でみると、7月から6か月連続で転出者が転入者を上回っています。新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークが増えたことなどが影響したとみられ、東京都への一極集中の流れが変わりつつあります。
東京都と各都道府県で個別に転出・転入を年間で比較すると、東京都からの転出数が上回ったのは、埼玉、神奈川、千葉の3県で、新型コロナの影響で、都内の密を避け、東京近郊に転出する傾向が顕著に表れています。東京からの転出が増えているのは、東京とのアクセスのいい地域が中心です。
3大都市圏別では、東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)は、転入者が転出者を上回る転入超過が9万9,243人で、前年より4万9,540人縮小しています。名古屋圏(愛知、岐阜、三重)と大阪圏(大阪、京都、兵庫、奈良)は、いずれも転出者が転入者を上回る転出超過です。
しかし、東京都からの転出の動きが目立ち始めていますが、転出地域は限定的で、本格的な地方への人口分散が進んでいるとは言えません。今後は、地方に人を呼び込めるかが課題となります。地方自治体は、教育や医療、地域コミュニティーに関する情報を発信し、移住を希望する人が定着できるような取り組みを進めることが大切です。
今の移住の動きを定着させるには、女性や若者が働きやすく住みたいと思う地域を広げていく必要があります。子どもの預け先確保や医療費無償化、テレワークなどを含めた雇用環境の整備が必要です。
(2021年1月30日 読売新聞)
(吉村 やすのり)