東京23区から郊外への子育て世代の流出が続いています。総務省の発表によれば、2019年は35~39歳で5年連続の転出超過、40~44歳でも4年連続の転出超過となっています。就職世代から30歳代半ばまでは、流入が目立つのと対照的です。15歳未満の子どもでみると、比較可能な2010年以降で23区の転出超過が初めて7千人を超えています。
背景には東京23区のマンション価格の高騰があります。初めて住宅を購入する子育て世代には、手が届きにくくなっています。子育て世代が高くても狭くても教育環境の整った都心を選ぶ人と、教育・住環境がよく手頃な郊外の住宅を選ぶ人に二極化しています。しかし、郊外が優勢になりつつあるのが最近の傾向であり、住宅価格の高騰が郊外志向に拍車をかけています。
(2020年2月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)