東京都の人口増加

 東京都の人口増加が続いています。8月の推計人口は1,426万人で、転入が転出を上回る社会増で過去最多を更新し続けてきています。都内の人口はこの30年で2割増えています。新型コロナウイルス禍の2021年には26年ぶりの人口減少を経験したものの、2022年には4万6,732人の増加に転じ、2024年には9万632人の増加とコロナ禍前の水準に回復しています。

 国立社会保障・人口問題研究所の推計では捉えられないような増え方です。1995年時点からの推計で2025年の東京都人口を約940万人とみていましたが、実際はその1.5倍になりました。推計と実績の乖離は全国の中で都が突出して大きくなっています。

 理由の一つが企業の生産性の高さです。東京は金融や不動産、情報通信など労働生産性が高いとされる産業が集まります。賃金や生産性の上昇が人や企業をひき付け、それがさらなる産業の付加価値化につながる集積の利益効果が起きています。

 世界で一番の都市・東京を目標に掲げる都は、人への投資で集積の利益の最大化を狙っています。子育て支援関連予算は約2兆円と、2016年の就任以前から7割増となっています。保育料や高校授業料の無償化、子育て世帯への現金給付など相次ぎ打ち出した政策には所得制限ありません。共働き世帯などを支える介護士や保育士にも独自の確保策を講じています。過去最高の更新を続ける都税収入は、4割を法人二税が占め、企業収益は都政の原動力にもなっています。

(2025年9月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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