都の推計では、都内の人口は2020年の1336万人をピ-クに減少に転じ、2060年には1036万人になるとされています。ひとりの女性が生涯に産むと見込まれる子どもの数を表す合計特殊出生率は、2014年に1.15と47都道府県で最も低く、高齢化も進んでいます。都は戦略で希望出生率を1.76と算出し、2060年までに実現を目指すことにしています。
都が示した希望出生率は、民間研究機関の日本創成会議が提唱したもので、国民の希望がかなった場合の出生率との考えからです。計算式では、2010年の国勢調査や出生動向基本調査など6つの数値が使われています。こうした希望出生率を目標に掲げることも大切ですが、生まれる子どもの数より、生まれた後の子どもの環境を整えることがより大切です。子育て家庭の質の向上を政策の第一目標にすれば、若いカップルが子どもを持ちたいと考えるようになり、出生率は自然に上昇すると思われます。そのためには待機児童解消も含め、子育てをすることが若いカップルのインセンティブとなるような政策がより大切となります。
(2015年11月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)