東京都の無痛分娩の費用助成

 厚生労働省の2023年度の調査によれば、平均出産費用が都道府県別で最も高かったのは東京都の62万5,372円で、国の出産育児一時金の50万円を超えています。無痛分娩はさらに追加で費用がかかり、都内での無痛分娩の平均費用は約12万4千円にのぼっています。

 10月1日以降、東京都は少子化対策の一環として、無痛分娩にかかる費用を最大10万円助成します。無痛分娩を希望する人は増える傾向にあり、費用を気にせず選択できるよう、都は独自の助成を決定しました。都内の医療機関での出産が対象ですが、都は安全性の確保のため、母体急変時の対応に関する研修への参加など、人員体制や安全管理対策について国の定める自主点検表の項目を満たしていることや、無痛分娩の実施状況などの公表を求めています。

 無痛分娩の希望者が増える一方で、無痛に対応できるよう麻酔科医を雇用し、施設を整える病院もあれば、財政的に余裕がなく、分娩をやめる施設も出てきています。結果的に産める場所の選択肢が減ることになると考えられます。さらに、他県の麻酔科医が無痛分娩に対応するために都内に移ってしまうと、一般の外科手術など医療全体に影響が及ぶ可能性も出てきます。麻酔科医の育成や分娩施設の確保など、国によるスピード感のある対応が求められることになります。

 現状を考えれば、無痛分娩の24時間対応ができる病院は都内でも限られており、分娩予約を取ることが難しくなっています。多くの施設では、日時を決めて分娩誘導することになりますので、無痛分娩のリスクやベネフィットをよく考えた上で選択することが大切となります。

(表 参照:東京都福祉局HPより)
(2025年10月2日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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