東京都の行政サービスが充実しすぎていて、一極集中に拍車をかけています。そんな不満が地方から噴き出しています。背景には都と地方との間に税収の格差があります。都は様々な独自施策を展開しています。第1子の保育料無償化や、私立高校授業料の実質無償化を相次いで打ち出し、今夏は368億円かけて4カ月間の水道基本料金を無料にしています。
総務省によれば、都が独自施策に充てられるお金は、住民1人あたり28.1万円であり、他の道府県の平均7.8万円と比べて3.6倍にのぼっています。47都道府県で唯一、人口や面積などに応じて政府が算出する標準的な経費を大きく上回る巨額の税収があるためです。
周辺自治体は危機感を高めています。神奈川、埼玉、千葉の3県知事は、地域間格差がもはや看過し得ない水準に拡大しているとして、税収の偏りを是正するよう政府に申し入れています。地方税を所管する総務省は、有識者による検討会を設置して、是正に向けた議論を進めています。

(2025年11月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





