人口増が続く東京都では、高齢者の増加が急ピッチで進んでいます。都の人口は、2020年までの30年間で約220万人増えましたが、9割が高齢者です。子育て世代が他県に転出する一方、介護が必要な年齢になると都内志向が強まる傾向にあります。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2050年までの高齢者人口の増加率で1都3県はいずれも上位トップ10に入ります。都は2030年度に介護職員が約4万7,000人、神奈川県は2040年度に約4万3,000人不足すると試算されています。東京都を含む首都圏に高齢者が集中することで、介護職員不足がより深刻化すると思われます。
都内の高齢者人口は2020年時点で319万人で、30年間で2.6倍に増えました。生産年齢人口は928万人と、同期間で6%の増加にとどまったのと対照的です。都内の人口は、第1次ベビーブームや就職・進学に伴う上京により、1970年頃までの25年間で3倍超に膨らみました。その時期に経済成長を支えた働き手が次々とシニア世代になりました。
都内の高齢化率は、2065年に29.4%と2020年から6.7ポイント上がり、約3人に1人が高齢者になります。特に75歳以上の後期高齢者は、ピークの2055年には2020年より36%増えます。都内の要介護認定者数は2030年度には76万人、認知症の症状にある人は2040年度に約57万人に達します。それぞれ2022年度比で2割近く増えることになります。
(2025年10月1日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)