DMATは、自然災害や大規模交通事故などの現場で、消防と連携して負傷者の救命処置にあたるチームです。実践的な訓練や研修を受けた医師や看護師、業務調整員ら5人前後で構成し、普段はそれぞれ医療機関に勤務しています。DMATは、Disaster Medical Assistance Team(災害医療派遣チーム)の頭文字をとった略称です。
東京DMATは発足から20年超です。当初は多くても100件ほどで推移した年間の出動要請は次第に増え、近年は400件超に上っています。コロナ禍では患者の受け入れ調整も担っています。渋谷区の温泉施設爆発事故、2008年は秋葉原無差別殺傷事件の現場でも活動しました。訓練を受けた医師や看護師、救急救命士らは約1千人超で、指定を受けた病院に所属し、24時間365日、出動要請に備えています。
DMATの原点は、30年前に発生した阪神・淡路大震災です。当時、災害医療態勢の立ち上げの遅れが指摘され、救出後に状態が急変して心停止に至るクラッシュ症候群も多数報告されました。通常の医療が提供できれば防ぎ得た死は、約500人に上ったとされています。災害現場により近い場所で、医療を展開できないか、震災を教訓に、国や医療関係者の間でそんな議論が始まりました。国レベルでの具体化に時間がかかる中、率先して取り組んだのが東京都でした。

(2025年3月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)