株式報酬制度の導入

 株式報酬制度とは、給与などの現金報酬とは別に、役員や従業員に対して株式で報酬を付与する制度のことを言います。業績や株価に連動して報酬額が決まり、受け取る人が企業価値を高めようとする動機づけをしやすくなります。企業では、従業員のエンゲージメント向上を狙った人的資本経営の一環としても導入が進んでいます。

 売却を一定期間制限する譲渡制限付き株式報酬(RS)、ポイントを事前に付与して在籍期間などに応じて株式に転換できる譲渡制限付き株式ユニット(RSU)が代表的な仕組みとして知られています。あらかじめ決められた価格で株式を購入できる権利であるストックオプション(株式購入権=SO)、信託を使った株式給付信託など様々な種類があります。海外のテック大手では一般的な制度で、管理職の経営関与の意識を高める狙いに加え、人材獲得競争の激化を見据え、米欧企業と同じような報酬制度を設ける機運が高まっています。

 株式報酬制度を役員向けに導入した企業は、2024年に2,363社と2019年から1.8倍に増えています。役員以外も対象にしたRSUは、ソニーグループのほか、ルネサスエレクトロニクスも導入しています。もっとも経営トップは報酬が高額になりすぎることがあり、議決権行使助言会社や株主らによる監視の仕組みを整備する必要性も指摘されます。

(2025年7月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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