梅毒の急増

日本の梅毒感染は、感染者が約22万人であった1948年以降大きく減少しました。1999年から2012年までは報告数が500~900例で推移していましたが、2013年には、1,200例を超え、前年の1.4倍にも上昇しました。それ以降、2017年まで毎年約30~60%の割合で増加し続けています。2016年から2017年における報告数の変化を見ると、総数では4,559例から5,770例と、26.6%も増加しています。性別で分けると、男性は3,174例から3,886例で22.4%増、女性では1,385例から1,884例で、36.0%の増加です。


2010年~2015年の年齢群別報告数では、男性は20~40歳代がピークであるのに対し、女性は20~24歳がピークとなっています。2014年以降はパンデミック状態です。2017年の感染者が最も多いのは東京都ですが、前年に比べると、増加の割合はそれほどではありません。2番目に多いのは大阪府で、250人ほどの増加、第3位は愛知県で、80人増加しています。急増の原因は明らかではありません。訪日外国人旅行者が増えたことによる海外からの経路で、わが国の患者が増えたという可能性は否定できません。現在、梅毒は世界的に感染が拡大しており、米国でも、2011年~2015年の間で感染者数が1.6倍以上となっています。中国でも、患者数は15年前の15倍以上に増えています。

(家族と健康 2018年3月1日第768号)
(吉村 やすのり)

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