性行為などで感染する梅毒の患者が急増しています。2017年は5,820人と5年間で約7倍となり、男女とも20代を中心に増加が目立ちます。女性は感染が広がる年齢が妊娠・出産時期と重なり、母子感染の恐れが出てきます。梅毒は主に性行為を介して、梅毒トレポネーマという細菌が体内に入ることで起きる感染症です。3カ月以上経つと手のひらをはじめ全身に発疹ができ、症状が出たり治まったりを繰り返します。放置して進行すると脳や心臓に異常が生じます。一度治っても時間をおいて再発することもあります。
急増の原因は明確ではありませんが、梅毒は過去の病気という認識が強く、予防意識が低下していると考えられます。妊娠中の女性が感染すると、流産や早産の原因となるだけでなく、胎盤を通じて胎児に先天梅毒として感染し、障害を引き起こします。しかし、妊婦が感染しても早期に抗生物質を投与すれば胎児への感染を防ぐことができます。
(2018年4月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)