梅毒に感染する人が、近年増加しています。特に女性は、前年の2倍に増えています。妊娠と時期が重なれば、赤ちゃんに感染して先天梅毒になる恐れもあります。日本の感染者は、1948年には約22万人でしたが、治療薬の開発などで激減しました。90年代以降は1千人を下回り、ほぼ横ばいが続いていました。しかし、2010年から増加傾向に転じ、昨年は2600人を超えるようになりました。
若い女性に感染が増えると、妊娠している場合、胎盤を経由した胎児への感染が心配されます。流産や死産を招く危険に加え、生まれた赤ちゃんが先天梅毒になる可能性もあります。妊娠中は従来より妊娠初期の梅毒の検査を行っています。経済的な事情などで、妊婦健診を一度も受けない女性もいるので、女性の梅毒感染には注意しなければなりません。検査で陽性であっても、妊娠初期にペニシリン系やマクロライド系の抗生剤を服用すれば、先天梅毒は予防することができます。妊婦健診で検査することは、梅毒感染者が減少しても大切です。
(2016年2月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)
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