国は、間伐や植林、林業人材の育成といった森林整備事業に充てる原資として、2019年度から森林環境譲与税を都道府県と市町村に交付しています。国が地方自治体に交付した森林整備費の活用が進んでいません。会計検査院の調査によれば、配分された額を使い切れていなかった自治体は調査対象の9割を占め、未活用分は計145億円に上っています。
森林は日本の国土のほぼ3分の2を占めています。林業の衰退や所有者の高齢化などによって適切な管理が行き届かないと、土砂災害や山火事など防災上のリスクになります。近年は過疎化による里山の衰退が背景となり、クマの出没が増えるといった問題も深刻化しています。手入れが不十分な森林について、市町村が所有者に代わって民間の林業経営者などに管理を委託できる制度を導入しています。譲与税を活用した森林整備費は、こうした取り組みの財源となっています。
人員不足や知見不足といった声が目立ち、国主導の制度に自治体側の対応が追いついていない状況です。森林整備費の執行計画を策定し、使途と併せて公表するよう市町村などに奨励する必要があります。

(2025年12月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





