植物から生成したタンパク質による再生医療への応用

 理化学研究所らの研究チームは、iPS細胞から心臓や血管の細胞を作る際に必要なタンパク質を、植物から生産することに成功しました。iPS細胞から作った心臓組織を移植する再生医療では、効率的な分化にタンパク質の一種であるサイトカインが不可欠です。このサイトカインを植物による一過性の遺伝子発現系を用いて生産する手法を開発しました。

 植物が持つ安全性の高さ、低コスト、大量生産可能という特徴に着目し、生育が早く遺伝子組み替えが簡単なタバコ属の植物を用いて開発を進めました。遺伝子を導入した土中のバクテリアを植物に感染させ、植物本体に組み込み方法を利用しました。タバコの葉にサイトカイン遺伝子を入れ、葉の中でタンパク質が作られるようにしました。収穫した葉からタンパク質を抽出し分析したところ、大腸菌などから作るものと同等の性質があることが確かめられました。

 実際にiPS細胞を使い、サイトカインを加えて心筋細胞などが効率的にできるかを検証しています。植物から作られたことで、安全性を高めることができました。今後生産工程の自動化などが進めば、再生医療のさらなる発展が期待できるとしています。

(2025年7月28日 毎日新聞 京都大学)
(吉村 やすのり)

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