理化学研究所脳科学総合研究センタ-の利根川進センタ-長らは、脳の記憶を操作してうつ症状を改善する実験にマウスで成功したことを発表しています。うつ症状になると、楽しい記憶を思い出すのが難しくなるとされており、脳の神経細胞を光で刺激し、強制的に記憶を呼び覚ましたところ、うつ病の症状が和らいだとしています。今後、電極や薬剤で神経細胞を刺激することにより、うつ病の新たな治療法の開発につながることが期待されています。
光に反応するたんぱく質が脳の神経細胞の中にあり、光を当てると神経細胞が活性化され、記憶が呼び起されます。ストレスをかけてうつ症状を示すようになったマウスを、光を照射して記憶をよみがえらせます。楽しい記憶を引き出した後は、健康なマウスと同じくらい元気に動き回り、うつ症状が改善したとされています。
(2015年6月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)