次世代エネルギーとしての核融合発電

 政府は、次世代のクリーンエネルギーとして各国が開発を競っている核融合発電について2030年代に実証する方針としています。国家戦略に初めて明文化し、日本が技術の規格化や産業の育成に主体的に取り組む姿勢を世界に示します。

 核融合発電は、太陽の中で起きている反応を再現し発電に利用する技術です。水素の一種である重水素とトリチウムが融合したときに発生する莫大なエネルギーを発電に使います。理論上、燃料1gから石油8t分のエネルギーを取り出せます。日本の企業や大学は独自の技術を持ち、米国などの有力な新興企業や研究機関と協力する関係にあります。レーザー技術に強みを持つ大阪大学は、レーザー方式の核融合の研究で世界の先頭を走る米国のローレンス・リバモア国立研究所と連携しています。原子力発電と比べ使用済み核燃料の放射能レベルが低く、核分裂の暴走事故も起こりにくいため、安全性が比較的高いとされています。温暖化ガスの排出もなく、夢のエネルギーと呼ばれています。

 次世代のクリーンエネルギーとして期待が高く、米国や英国、ドイツなども国家戦略を策定し、研究開発への投資を増やしています。自民党には国家プロジェクトとして推進するため、フュージョンエネルギー基本法を制定すべきだとの意見があります。

(2025年5月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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