次世代薬開発のための共同研究組織

来年度に東京科学大学として統合する東京工業大学と東京医科歯科大学が、認知症やがんなどに有効な次世代薬の開発を目指す共同研究組織を設立します。薬の合成で優れた技術をもつ東工大と高度な医学研究を行う医歯大が、互いの得意分野を生かして統合効果を発揮します。医工連携の第1弾で、複数の製薬企業とも連携し、成果を新産業の創出につなげます。
薬は病気に有効な物質のサイズで分類され、小さなものから低分子薬、中分子薬、高分子薬と呼ばれます。低分子薬は、市販されている従来の飲み薬の多くを占めています。近年は遺伝子組み換え技術などで製造し、高い効果が見込まれる高分子薬が、がんなどの新薬の主流の一つになっています。しかし、製造コストが高く、投与が注射や点滴に限られ、使い勝手が悪いのも課題です。
中分子薬は、化学合成による大量生産が可能で、高分子薬よりもコストを抑制できます。一部は低分子薬のように口からも投与できるため、使い勝手も優れています。特に2010年代以降、病気の原因となる遺伝子の働きを制御する核酸医薬と呼ばれるタイプの中分子薬が次々に実用化されています。両大学は統合後、中分子薬の共同研究を通じて強化した研究者間の交流を生かし、より幅広い分野で医工連携を進めます。

(2023年8月27日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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