正社員の転職の増加

 総務省の労働力調査によれば、正社員の転職が増えています。2024年は99万人と前年から5%増え、最多となっています。10年前に比べると62%増です。20代後半から40代前半が多く、より良い待遇の企業に移る例が多くなっています。企業は、賃上げや職場環境の改善を続けなければ、優秀な人材を囲い込めなくなっています。非正規社員から正社員への転職は32万人とこの10年間でほぼ横ばいで、正社員の転職が目立っています。

 背景には、賃金と働き方を巡る企業間の格差が広がってきたことがあります。雇用が安定した正社員でも、より良い待遇や働き方を求めて転職するようになっています。企業の中途採用が増える中で、2008年のリーマン・ショック危機後に不本意な就職を強いられた世代が、転職に踏み切っています。正社員の転職の年代別では、25~34歳が37万人で最も多く、35~44歳の24万人が続いています。

 若い世代ほど転職で賃金が増える傾向があることも、職を変える誘因になっています。2023年の雇用動向調査で、フルタイム労働者の転職前後の賃金変化を見ると、増加したという回答が最も多い年代は20代前半で49.2%、減少の21.9%を大きく上回っています。増加率ごとにみると、3割以上が11.6%、1割以上3割未満が26.1%、1割未満が11.5%でした。

 無期雇用のフルタイム労働者の転職先の割合を見ると、医療・福祉が19%とトップで、卸売・小売業が14%、サービス業が13%と続いています。転職の増加は経済成長にも好影響を与えています。日本の雇用の流動性は先進国で最低水準にあり、産業の新陳代謝が進みにくいことが経済成長の足枷となっています。生産性の低い企業から労働者が移れば、経済全体の効率が高まります。

(2025年3月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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