歯止めが効かない少子化

 2024年の人口動態統計で、出生数が初めて70万人を割り込み、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率も過去最低の1.15となりました。出生数は2年前に80万人を下回ったばかりです。福井県を除く全ての都道府県で減少しています。東京都では、2023年に合計特殊出生率が初めて1を割り、0.99ショックと呼ばれましたが、さらに減少し0.96まで低下しています。

 合計特殊出生率が最も高かったのは沖縄県の1.54で、福井県の1.46が続いています。もっとも出生数の減少率をみると、地方で少子化がより深刻である実態が浮き彫りになっています。2024年の全国の出生数は10年前の100万3,600人と比べて3割減少しました。最大だったのは秋田の45.3%減で、岩手の44.4%減と福島の43.4%減が続いています。

 雇用環境や男女格差に困難を感じ、女性を中心に若い世代の人口が減っています。男女の賃金格差は都市部より地方の方が大きく、格差が大きいほど女性の流出が激しくなっています。一方、都会では、非正規で働いたり、仕事が忙しかったりといった理由で結婚を考えられない若い世代も多くなっています。地方は、女性に選んでもらえるような働き口を増やす取り組みが必要です。都会の自治体は、雇用を安定させるなどして、若い男女が結婚や出産を考えられる施策を推し進めなければなりません。

(2025年6月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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