死刑制度の容認

 内閣府の5年に1度の調査によれば、死刑制度をやむを得ないと容認する人の割合は83.1%で前回から2.3ポイント増え、5回連続8割を超えています。一方、廃止すべきだも7.5ポイント増の16.5%で、ほぼ同じ質問の調査が始まった1994年以降で最も高くなっています。将来も死刑を廃止しないとしたのは64.2%で、9.8ポイント増えています。

 死刑容認の理由は、被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらないが62.2%、凶悪な犯罪は命をもって償うべきだが55.5%、廃止すれば凶悪な犯罪が増えるが53.4%などでした。廃止すべき理由は、裁判に誤りがあった時、取り返しがつかないが71.0%と最も多く、20.3ポイント増えています。

 先進国の大半は死刑を廃止しています。世論の後押しではなく、人権を重視する立場から政治主導で廃止した国も多くなっています。重視されるべきは、死刑をやむを得ないと思っている人の割合ではなく、死刑廃止を受け入れる土壌が国民の間にあるかどうかです。死刑廃止で刑事司法への国民の信頼が失われる状況なら、確かに廃止はできません。

(2025年2月22日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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