政府は、残業代ゼロの対象者を年収1,000万円以上の高所得者とすることを決めた。どんなに長く働いても残業代は出ず、成果で賃金が決まることになる。新制度では休日手当もつかない。残業制度がないものになれば、時間あたりの生産性が上がるものと考えられるが、一方では長時間労働に歯止めがなくなる可能性もある。
残業ゼロの状況が世間に受け入れられることになれば、時間が経つにつれ、制度の対象が年収の低い労働者にも広がると思われる。対象が広がれば、有給休暇などの労働者に支えられてきた当然の権利もなくなるかもしれない。
(2014年6月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)