法制審議会において、離婚に伴う養育のあり方について、法制度が見直されています。年間約20万人もの未成年の子どもが、両親の離婚を経験しています。家族法制の見直しを巡る議論が動き出した背景には、離婚後に養育費が支払われないために貧困に苦しむひとり親世帯が多くみられます。
2016年度の厚生労働省の調査によると、離婚後、養育費を受け取っている母子世帯は24%にとどまっています。受けたことがないのは56%に上っています。民法は離婚時に養育費などを夫婦の合意で取り決めると規定していますが、強制力はありません。厚労省調査では取り決めをしていたのは母子世帯で4割あまり、父子世帯で2割でした。
海外では、離婚時に養育方針を話し合う制度が充実しています。かつては単独親権が主流でしたが、子育ては父母が平等に担うものとの考え方が浸透し、共同親権が定着するようになっています。
(2021年3月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)