母子感染症シリ-ズ―Ⅶ

HIV

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、レトロウイルス科レンチウイルス属のRNAウイルスで、CD4陽性T細胞に感染し、その減少と機能異常を起こすほか、種々の免疫担当細胞(B細胞・単球・マクロファージなど)にも質的・量的異常を起こします。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は免疫系を徐々に破壊し、最終的に検疫不全に至る慢性進行性の細胞性免疫不全症です。自然経過では約10年の無症候来を経て、23種類の指標疾患である日和見感染症や悪性腫瘍を合併した時点で後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断されます。
 わが国では、妊娠初期のHIV検査による早期診断、妊娠・分娩・産褥期を通じた適切な抗ウイルス療法、選択的帝王切開、人工栄養を中心に予防対策を講じることで、母子感染をほぼ完全に阻止できるようになってきています。

(吉村 やすのり)

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