こども家庭庁の調査によれば、児童福祉法に基づいて運営する公的な施設である放課後児童クラブ(学童保育)の待機児童数は、2024年5月時点で1万7,686人と、過去最高だった2019年に次ぐ高水準でした。保育所の待機人数が2017年をピークに下落に転じ、2024年に2,567人まで減ったのと対照的です。こうした問題は、子どもが小学校に進学すると親が預け先に困る小1の壁と呼ばれています。
共働き家庭の間で放課後の小学生を預かる民間の学童保育への関心が高まっています。共働きの間で民間学童への関心が高い背景には、公的学童がニーズに応えきれていないことがあります。公的な学童保育施設を希望しても入れない待機児童が増えるなか、公的施設に比べ利用時間が柔軟で習い事などの選択肢が幅広いためです。
公的学童は、自治体が設置・運営する公設公営や自治体が設置し運営を民間に委託する公設民営などがあります。料金の相場は、週5日利用で月3,000~1万円程度と安くなっています。時間延長は基本的に対応せず、保育内容も子の居場所を確保する預かりが中心です。
民間学童は一般的に企業が運営し、補助金も受けていません。月基本料金は3万~10万円程度と高いのですが、自社のノウハウや強みを生かした習い事やプログラムを提供しています。午後7時以降も預かったり、学校から施設までの送迎や保育終了後の送りをしたりする施設もあり、預かり時間などの利便性が高く、就業と育児を両立させたい共働きのニーズに合っています。
(2025年2月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)