法務省によれば、2024年の司法試験の受験者数は3,779人と、旧司法試験が終了し現行制度に完全移行した2012年の半分以下に減少しています。2012年に2割台だった合格率は、近年は4割台で推移するなど質の低下を懸念する声も上がっています。法科大学院離れも進んでいます。文部科学省によれば、開設初年度の2004年度に7万人超だった志願者数は、2025年度は1万5,271人と5分の1に減っています。
法曹志願者数の減少に歯止めをかけようと法曹界が小中高生へアプローチし始めています。普段の生活で接する機会の少ない業界だけに、進路を考える上で選択肢に入っていないケースが少なくありません。職業体験や模擬裁判を通じて、法律に関する仕事に興味を持ってもらうことで裾野を広げる狙いがあります。
専門職である裁判官や検察官、弁護士の仕事は、子どもたちにとってイメージが描きにくい職業です。若年人口の減少に加え、就職先も多様化する中、イベントなどを通じて小中高生の頃から仕事内容を知ってもらうことで、多くの学生に法学部や法科大学院を選んでもらえるようにする狙いがあります。

(2025年9月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)