法科大学院での活動

 実際に起きた事件の弁護に学生が関わり、法律家になるための力を養う取り組みが各地の法科大学院で出てきています。学生がプロ顔負けの成果を上げる活動もみられています。しかし、国内では制約も多く課題もみられます。

 刑事訴訟法は、刑事事件の弁護人は原則弁護士から選ぶと定められています。米国のように、一定の学習期間を経たロースクール生に対し、弁護士の監督下などの条件を満たせば法廷での活動を認める規則がない日本では、学生は活動できないのが現状です。警察官の立ち会いなしでの容疑者との接見や、検察側の開示証拠の閲覧など、教員の弁護士が同行すればできていたことが、捜査機関の対応の変化で難しくなっています。

 法科大学院の開校から20年が経過し、各大学のカリキュラムが司法試験対策に偏ったものになっています。社会が求める法曹に近づくためにも、学生時代に生の事件に触れることは大切です。こうした授業が、さらに多くの法科大学院に広がることが望まれます。

(2025年2月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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