法科大学院の廃止

 司法制度改革の目玉として、2004年にスタートした法科大学院が、廃止されたり募集を停止しています。全体の志願者は、最多だった2004年の73千人の1割程度まで落ち込んでいます。弁護士など法曹資格を取っても職がないなどのイメージが広がっています。文部科学省が、2015年度から司法試験の合格率などによって大学院への補助金をゼロにする制度を導入しました。これにより、15校が廃止、20校が募集停止としています。
 背景には、政府の法曹需要の読み誤りがありました。経済のグローバル化や知的財産分野の拡大で弁護士が足りなくなると見込んでいました。年間1,200人程度だった司法試験合格者を3千人にする目標を揚げましたが、法曹需要は増えませんでした。司法試験の合格者数の上限を決める一方、当時の新自由主義的な政府の政策に乗って、設置許可の基準が大幅に緩和され、法科大学院が次々と設立されました。こうした国の制度設計自体が誤っており、淘汰は当初から予測されたとの指摘もあります。

(2017年7月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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