近年、死産や流産を経験した女性に対するグリーフケアの重要性が専門家の間でも指摘されています。支援事業に乗り出す自治体は全国的にはまだ少なく、本人が抱える喪失感を理解されにくいことが背景にあります。支援や相談窓口の用意が比較的整っているのは、都道府県や政令市などが中心で、他の市区町村レベルでは未整備なケースが多いのが現状です。
厚生労働省は、自治体職員や医療従事者を対象にした妊産婦のメンタルヘルスケア研修などの支援を強化し始めました。適切なケアに向け、既存の妊産婦支援事業を活用しきめ細かく対応するよう自治体に通知もしています。しかし、医療機関・従事者の取り組み姿勢にも濃淡があり、支援情報が得られずに抱えている悩みを共有できず、孤立する当事者も少なくありません。
流産や死産を経験した女性も、母子保健法上の支援対象だとしています。①不妊相談、②流産を繰り返す不育症支援、③出産後1年未満の女性や乳幼児向けの産後ケア、④乳幼児とその保護者、妊産婦を想定する子育て世代包括支援センターの利用などを活用できるとしています。
(2021年12月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)