海外のアカデミー

日本の学術会議の会員は、特別職の国家公務員で定員は210人です。政府は人件費などを含めて、学術会議の予算として年間およそ10億円を計上しています。学術会議側は、あくまで国の組織としての維持を希望する一方で、自民党内には民間法人にすべきだとの声が根強くなっています。政府は、日本学術会議のあり方を話し合う有識者懇談会の設置を決めています。引き続き国が予算を出すなら、政府や国民との信頼関係が不可欠になります。学術会議の今のあり方が本当に良いのか考える必要があります。
主要7カ国(G7)をはじめとした海外のアカデミーをみると、多くが民間団体で、政府機関は国際的に珍しく、全米科学アカデミーは非営利・非政府組織、英王立協会は公益団体で、政府からの独立性が高くなっています。資金面で見ても米英いずれの組織も国の予算は入りますが、日本の学術会議のように全額を依存していません。
米国の科学アカデミーを含む3団体などの予算は、2020年に日本円換算で計550億円超で、公的資金の割合は4割ほどにとどまっています。英国の王立協会は、2020年度の予算が200億円超で、8割程度を政府の助成で賄っています。その他の収入は民間企業や個人からの寄付などが占めています。

(2023年7月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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